岡田 尚子

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作品の特徴

岡田の作品の最大の特徴の一つは、空気感である。匂い立つ森のミストを丹念に描出し、観る者が森へ足を踏み入れたかのような、リアルな感覚を追い求める。なぜなら、作品は、その森が確かに岡田の中に存在している証明でもあるからだ。多くの生き物と接し、それぞれに深い悲しみを伴う別れを経験してきた岡田には、種にかかわりなく、命に対して特別な執着があり、また、死という永遠の別れへの、強い恐怖を常に抱いている。そんな終わりの無い心の痛みからの解放を目的としてその森は存在する。土は機能を終えた肉体を分解し、木々は魂を宇宙へと打ち上げる。そして光源の向こう側は、まだ見ぬ次の世界である。森を描き続けることは、これからも対峙するであろう多くの別れに対して、岡田独自の解釈でよりポジティブに受け入れるための一環となっているのだ。

作家について

岡田尚子は1982年に大阪で生まれ、茨城で育った。幼少期には、広大な田園風景の続く地域で、小鳥、リス、うさぎやアヒルなど様々な動物と多くの時間を過ごした。高校の美術科に進み、日本画を専攻した。日本画家、故川端龍子の「草炎」に強く感銘を受け、草木等自然をモチーフにした精密画を描くようになる。また、在学中にデジタルペイントソフトに出会い、この画法なら自分らしい表現を追求できると直感した。卒業後は美大へは進学せずに、独学でデジタルアートの技法を習得していく事となる。

その後社会に出て、イラストレーターとして活動していたが、仕事にも環境にも大変恵まれた。しかし24歳の時、膠原病を患い、長期入院をする事となる。その時間は、一度の人生で自分がやり遂げたい事は何のかを深く考えるまたとない機会となった。退院後は、イラストレーターとしての活動を辞め、画家として、これまで追求してきた表現方法をさらに発展させるため本格的な創作活動に入った。25歳の時である。

オオカミとの出会い

岡田とオオカミとの出会いは24歳の時だった。進行性の膠原病で苦しむ中、精神的にも限界だった頃である。不眠症状が続き、眠りにつくまで長く妄想にふけっていた。光に溢れた静かな森を想像していると、心が落ち着き、安らいだ。森に現れるのは、一匹の白いオオカミだった。そのオオカミは希望と絶望の両方をたたえたような表情で、いつも何かを訴えている印象だった。岡田はそのオオカミに、睡眠にちなみ、「レム」と名付けたが、その後長く人生を共にする事になるとは、当時は予想もしていなかった。

岡田は人生で一番必要なものは、友であると確信している。血縁や種を超えた 、精神で繋がるの友のような存在を超えるものは無いと考える。そしてこのオオカミのレムにも友がいたらと想像した。一匹オオカミとは、日本では孤高で強い者としてのイメージがあるが、現実の野生の世界では、一匹オオカミは群れから追放された弱く悲しい存在なのだ。そんなレムの友にうってつけの存在が一羽のカラスだった。どんな環境にも順応でき、図々しくも強く生きるカラス。岡田はこのカラスにカフカと名前を付け、レムと共に旅をさせた。そして作品のストーリー性はより深まっていく。

現在は東京で創作活動を続けている。作品は東京、大阪のギャラリーで取り扱われており、今年で10年目となる。

経歴

2001 茨城県立取手松陽高等学校 美術科 日本画専攻 卒業
2005 サーティファイグランプリ2005(デジタルアート部門)/最優秀賞
2006 第6回インターナショナル・イラストレーション・コンペティション / ベスト・イン・リアリスティック賞
2008 第8回インターナショナル・イラストレーション・コンペティション /奨励賞
2008 アジアデジタルアート大賞2008/優秀賞
2008 東京の末広町、大阪の心斎橋ギャラリーにて作品の取り扱いが始まる。
2010 ハサウェイ・ジョウンズの恋(白水社)の装丁画を担当
2011 原宿にて個展
2011 14歳妊娠あともどりできない。(小学館)の装丁画を担当
2012 葬式組曲(原書房)の装丁画を担当
2013 ポストクラシカル/エレクトロニカユニット、filmsのCDアルバムアートに作品を提供
2013 銀座にて初の原画展
2014 横浜赤れんが倉庫にて岡田尚子10周年記念個展
2014 ピアニスト、Yuki MurataのCDアルバムアートに作品を提供
2015 日本のインストバンド、AnoiceのCDアルバムアートに作品を提供
2016 プラウドタワー武蔵小杉コンドミニアムの常設アートワーク(全45階エレベーター横に作品設置)
2016 渋谷BUNKAMURA GALLERY WALLにて展示
2016 パークシティ柏の葉キャンパスコンドミニアムの常設アートワーク(全36階エレベーター横に作品設置)
2017 ドライフルーツ菓子「ayur paron」のパッケージアート全10種類を担当
2017 新宿ヒルトンホテルにて個展